お見合い愛執婚~俺様御曹司に甘くとらわれました~
帰り道、智哉の車に揺られながら、今日のことを反芻する。
達彦の時に私を庇ってくれたりとか、仕事に対する自信と熱意とか。
全部が混ざって私の胸を満たしていく。
魅了されるというのはこういうことを指すのかもしれない。
人の上に立って、先導していく人間は何かしらの魅力がなければその役は負えないと思う。
それがこの男は備え持っていて、私も少なからず彼の魅力に惹かれている。
いや、どっぷりともう嵌っているわ。
今も、隣で運転する智哉にドキドキしている。
彼に面している身体の右側がチリチリと熱を持ってしまうから、そわそわしてしまうのをぐっと堪えている。
まさか、本当に好きになっちゃうなんて。
絶対こいつには捕まらないと思っていた。
こんな傍若無人で外面だけがいい奴、辟易するとさえ思っていた。
それがこんなにコロリと気持ちが反転するなんて自分の女の部分が怖い。
ちらっと隣を盗み見ると智哉がちょうど信号待ちでブレーキを踏んだところだった。
ばちっと目が合って慌てて顔を背ける。
「何?さっきから黙って。腹痛いの?」
「ち、違うわよ!」
何とも色気のない会話に一人だけ意識していたことが恥ずかしくなってくる。
憤慨すると智哉がふっと笑みを零した。
妙に大人しい私のために空気を和らげてくれたのだ。