恋は盲目、愛は永遠
「唯子を幸せにできるのは、この私しかいない。逆も然り」

そうだ。お互いがお互いを幸せにする。それが結婚する意義ではないか。
やるべきこともやらずに落ち込むなど、私らしくない。

まったく。
唯子にかかわると、私の知られざる一面がどんどん引き出されていく。
それも悪い面ばかり・・・。

「何事も器用にこなす坊ちゃんだけど、唯子ちゃんのことに関しては不器用っすよね」
「それが本物の恋愛だ。相手に本気だからこそ、自分の嫌な部分や見たくない部分が見えてしまう」
「・・・そうなのか?直樹」
「はい坊ちゃま。坊ちゃまは唯子ちゃんを翻弄しているようで、実は坊ちゃまが唯子ちゃんに翻弄されているだけです」
「それだよそれ!やっぱ倉田っちって人をよく見てるよなぁ」と言ってゲラゲラと笑っている翼と、穏やかな顔で運転している直樹を見て、心境は複雑だった。

この私が翻弄されている・・・?

だがそれが真実なのだろう。
二人からそう指摘されて、私は安堵した。

なぜなら翻弄される相手が唯子なら構わないと思っているから。
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