恋は盲目、愛は永遠
・・・・・・え?
私は伏せていた目を上げ、鈴太郎さんをまじまじと見た。

「り、りんたろうさん?」
「本音を言えば、美しい唯子の姿が見れなくなることが寂しいが、それで唯子が怖くなくなるのなら、両目を失うことくらい・・・」
「そんなの倫理的にできないってさっきも言ったっしょ?坊ちゃん!」と秘書の福島さんが呆れ声で言ってくれたおかげで、私ははたと現実に戻った気がした。

「この私がいいと言っているんだ」
「できないからできないんすよ!」と私を挟んで言い合っている鈴太郎さんと福島さんを、私はハラハラしながら見ていた。
とにかく、さっき鈴太郎さんが言ってくれた言葉で、私の心は決まった。

私は二人の言い合いに入り込むように、「鈴太郎さん」と呼びかけた。

「なんだ?唯子」
「私・・・私、鈴太郎さんと結婚します」

「そうか」と言って笑顔で平然と受け止めている鈴太郎さんとは対照的に、私の両親と秘書の福島さん、そして運転手の倉田さんは、みんなで私を止めに入った。
でも、止めるとはいっても、ここには鈴太郎さん本人がいる。
だからみんなは、やんわりと言葉を濁して「もう少し考えたほうが・・・」くらいしか言えなかったんだけど。
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