恋は盲目、愛は永遠
朝起きると、鈴太郎さんはいつもいなかった。
かすかに残っている隣の温もりを確かめて、ホッと安堵の息をつくのが、朝一番の日課になった。

少なくとも鈴太郎さんは、私の隣で寝てくれる。
抱かれることは正直苦痛だけど、一緒に寝てくれることはとてもありがたかった。

鈴太郎さんの温もりが大好きだから。

日中は屋敷の中や庭で、プラプラと過ごす。
今私のお母さんに会うことはできないけど、住み込みメイドのサキさんとみさえさんが私の母代わりとなり、身の回りの世話から話し相手になってくれるのが、せめてもの救いだった。

ずっとこのままの状態じゃないことは分かってる。
結婚後10日経った頃、鈴太郎さんから外出の許可は出たし。
でも私は何となく怖くて、まだ外へは出ていなかった。
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