一途な社長の溺愛シンデレラ


 頭に浮かんだ萌の笑顔と、リンクトのハルカの文面と、絵里奈の必死そうな顔が、重なり合って混ざっていく。

 柔らかくて、温かくて、でもときどき胸が詰まるような、泣きたくなるような、そんな不定形な感情はなかなかイメージ像を結ばない。

 社長と一緒にいるときの、落ち着くような、満たされるような感覚。

 抱きしめられたときの、心臓の音。

 彼にミューズがいたことを知ってからの、デザインの色。

 自覚がなくても、私の知らないところで私の気持ちは、たしかに揺れ動いていた。

 横断歩道を渡り駅に続く通りを歩きながら、ふと顔を上げる。

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