一途な社長の溺愛シンデレラ


 会社のある仲野坂駅を通り過ぎ、最寄りの駅のひとつ手前で車内アナウンスが流れた途端、思わず身体が動いた。

 ほとんど無意識に降り立ったのは、『小ヶ谷駅』だ。

 休日の都内には人が少ない。一つ先の私の最寄駅に続いている片道二車線の国道は、ほとんど車が走っていなかった。

 平日よりもひっそりとしている午後十時の気配が、街路樹の銀杏並木を覆っている。

 社長のマンションは駅から徒歩三分の場所にある。

 私の部屋からも徒歩十分程度の距離で、一人暮らしに慣れていない頃は、画材や資料、パソコン機器など足りないものがあったときに幾度となく借りに訪れたことがあった。

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