一途な社長の溺愛シンデレラ
大通りから脇道に逸れると、車が一台やっと通れるような細い道が続く。
うちの地元よりもずっと敷地面積が狭いのに、ずっと地価が高い住宅街の一角に、築十年ほどの地上十二階建てビルが建っていた。ここの最上階に、社長はひとりで暮らしている。
空に突き立つようなビルを見上げても、十二階の窓に明かりが灯っているのかどうかは、ここからではわからない。
そもそも、なんとなく足を向けただけで特に用事があるわけでもないのだ。
いったいなにをしているのだろうと自問しながら自宅の方向へ足を向けたとき、後ろのほうから声が聞こえた。
「待ってよ遼介!」
女の声にはっとして、私はとっさにとなりのマンションの植え込みに身を隠した。