一途な社長の溺愛シンデレラ

 薄闇に目を凝らすと、人影がふたつ、こちらに近づいてくる。

 月明かりだけでも誰だかわかる背の高いシルエットに、胸がきゅっと縮んだ。

 マンションの外灯に照らされて社長の顔が浮かび上がると、なぜだか泣きたいような気持ちになる。

 自分の気持ちを自覚した途端、感情は体の内側でこんなにも大胆に暴れるのかと、戸惑いつつも新鮮なような、複雑な気分だった。

「遼介ったら! どうして無視するのよ! 話くらい聞いてくれたっていいでしょう!」

 一言も発せず早歩きでマンションのエントランスに入ろうとする社長に、女は追いすがるようにしてまくしたてていた。

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