一途な社長の溺愛シンデレラ
慣れないことをした後で気が抜けた顔をしていたからか、社長は私を心配してくれている。
「少しだけ。でも平気。社長はすごいね、いつもテキパキ動いて」
「そういう性分なんだよ」
困ったように笑いながら、彼は深い色合いのワインをグラスに注ぐ。
「うちは父親と兄貴が天才肌というか、身の回りのことが本当になんにもできないタイプで、母親と俺が世話係だったからさ」
渡されたワイングラスに口をつけながら、パーティーで出会った彼の兄の姿をぼんやり思い出す。
挨拶を交わした程度だからはっきりとはわからないけれど、たしかにマイペースというかなんというか、社長とはまったくちがうタイプの人間に思えた。
「天才肌……。社長の家って芸術一家なの?」