一途な社長の溺愛シンデレラ

 どことなく緊張した面持ちで、社長はグラスをテーブルに置いた。その彫りの深い顔をじっと見る。

 いつも社員たちを気にかけて、私の健康にも気を使ってくれて、とても頼りがいがあるかと思えば、竜崎からからかわれたり、絵里奈や御池さんからツッコミを入れられたりと、鈍感な一面もある。

 表情が豊かで、自分の信じる道に向かってまっすぐ生きている。

 結城遼介は、誰が見ても、魅力的な人間だ。

 私にはもったいないくらいに。

「結婚しようって言ってくれたこと、嬉しいと思ってる。……たぶん」

 自分の気持ちなのに、たどたどしくしか話せなくて、もどかしい。

 それでも、ひと言ずつゆっくり口にするしか方法はなかった。

 そして彼は、そんな私の言葉を辛抱強く待ってくれる。

< 265 / 302 >

この作品をシェア

pagetop