一途な社長の溺愛シンデレラ
グラデーションがかった深い青の背景と、それとは対照的に左隅にちいさく配置してある赤紫の光、そして縦にのびる無数の黒い筋。
「緑がまったくないじゃないか。森林といえば木だ!木といえば緑だろう」
うんうんと頷く自社の役員たちを確認してから、彼は声を張り上げた。
「誰がつくったんだ!ちっとも趣旨を理解してないじゃないか!」
「我社が誇る精鋭デザイナーの彼女が制作しました」
社長が笑顔を崩すことなく私を振り返る。急に矛先を向けられて戸惑いつつも、私はぺこりと一礼した。
ここで私を紹介したら火に油なんじゃないだろうかと思っていると、案の定、太陽石鹸の課長は眉をつり上げた。
「こんな、中学生に毛が生えたような小娘につくらせたのか」
机に並んだほかの役員たちも渋い顔をして私を見ている。
この場に女性の姿が見えないことからもうすうす感じていたけれど、ここはどうやら古い体質の会社らしい。
末席で座るに座れなくなっている眼鏡をかけた営業企画課の課長は、もしかするとそういう役回りなのかもしれないな、と思った。