今宵、エリート将校とかりそめの契りを
琴はそこまでしっかりと観察してから、「どうですか?」とどこまでも純粋無垢に感想を訊ねてくる。


(琴は気付かないのか? これも間接的な接吻なんだが……)


総士の方が戸惑い、目線を宙に彷徨わせる。
今の行為のせいか、先ほどまでより注目を浴びている。
おかげで、素直に感想を言うのも照れてしまう自分がいる。


「ああ、うん。……甘い」


総士は口元を手で隠しながら、くぐもった声で返事をした。
それを聞いて、琴がなんとも嬉しそうに、満面の笑みで「ねっ!」と返す。
その途端、総士の胸はドキンと強く打ち鳴り、そのままドキドキと加速し始めた。


「っ……」


自分の胸の反応に焦り、総士は思わずそっぽを向く。
しかし琴の方は気にする様子もない。


「もう一口、欲しいですか?」


笑顔のまま二口目をスプーンに掬い、総士に向けてくる。
嬉しそうに目をキラキラさせている琴を見て、総士は口から手を離し、フッと苦笑した。


「俺はいいから。お前が食べろ」


そう言って、スプーンの向きを変えるよう手で制する。


「え? でも」

「俺は一口で十分だ。夕食までにまた腹が鳴らないよう、ちゃんと食って宥めておけ」


そう言って返すと、琴は先ほどの恥ずかしさを思い出したのか、再び頬を染めた。
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