今宵、エリート将校とかりそめの契りを
「も、もう鳴りません」


そそくさと腰を下ろして、どこかせかせかとスプーンを動かし、再びアイスクリームに夢中になっていく。
総士はそんな彼女を、頬杖をついてジッと見つめた。
無意識に顔を綻ばせている自分に気付く。


(どうしてこんなに胸が弾むのか……当然か。俺は今、琴の笑顔を初めてまともに見た)


アイスクリーム一つでこんなに喜ばせることができたのか、とやや悔しく思う反面、彼女に『好きです』と言わせることができた自分が、誇らしい気分にもなる。


(愛おしい。そういうことか)


琴の満面の笑みを見て、胸を弾ませ心を熱くする。
自分が考える以上に琴を想っていることを、総士は思い知った。
そしてそれが、彼に喜びを与えてくれる。


「ご馳走様でした」


ハッと気付くと、琴はアイスクリームを綺麗に食べ終えていた。
紙ナプキンを手に取って綺麗に口元を拭いながら、ずっと彼女に向けていた総士の視線に気付き、目線を上げる。


「総士さん?」


きょとんと首を傾げる琴に。


「琴。……愛してる」


総士は目を細め、柔らかい笑みを浮かべてそう告げた。


一瞬の間の後―—。


「っ!!」


琴の顔は、再び火を噴くようにボッと赤くなった。
< 186 / 202 >

この作品をシェア

pagetop