今宵、エリート将校とかりそめの契りを
しかし総士は涼しい顔で、琴の手を引いた。
誘われるようにして、彼の隣に腰を下ろす。
「もう……今日のような勝手はしません」
殊勝にうなだれる琴を横目で見遣り、総士はわずかに目を細めた。
「ああ。そうしてもらえると、助かる」
彼はクスッと笑うと、指先で琴の横顔にかかる髪をさらりと揺らした。
横から覗き込んでくる総士に、琴はそっと目を上げる。
「……琴」
総士がなにか憂うように顔を歪め、琴の名を呼ぶ。
「はい」
「忠臣の報告の件……。聞いて平気か?」
指先で掬った髪を琴の耳にかけ、総士が心を探ってくる。
耳をくすぐる指に、琴は一瞬ピクッと肩を竦ませた。
わずかに逡巡して間を置いてから、「はい」と頷く。
「私……正一さんを信じます」
返した返事に後押しされて、琴はもう一度大きく首を縦に振った。
琴の瞳に力が宿っているのを見て、総士はホッと息をつく。
「お前なら、そう言うと思っていた」
彼の反応を確認して、琴はニコッと微笑む。
「総士さん。私、戦場のことは、なにも知りません」
琴は膝の上に両手を置き、そっと組み合わせた。
総士は黙って耳を傾けてくれている。
誘われるようにして、彼の隣に腰を下ろす。
「もう……今日のような勝手はしません」
殊勝にうなだれる琴を横目で見遣り、総士はわずかに目を細めた。
「ああ。そうしてもらえると、助かる」
彼はクスッと笑うと、指先で琴の横顔にかかる髪をさらりと揺らした。
横から覗き込んでくる総士に、琴はそっと目を上げる。
「……琴」
総士がなにか憂うように顔を歪め、琴の名を呼ぶ。
「はい」
「忠臣の報告の件……。聞いて平気か?」
指先で掬った髪を琴の耳にかけ、総士が心を探ってくる。
耳をくすぐる指に、琴は一瞬ピクッと肩を竦ませた。
わずかに逡巡して間を置いてから、「はい」と頷く。
「私……正一さんを信じます」
返した返事に後押しされて、琴はもう一度大きく首を縦に振った。
琴の瞳に力が宿っているのを見て、総士はホッと息をつく。
「お前なら、そう言うと思っていた」
彼の反応を確認して、琴はニコッと微笑む。
「総士さん。私、戦場のことは、なにも知りません」
琴は膝の上に両手を置き、そっと組み合わせた。
総士は黙って耳を傾けてくれている。