今宵、エリート将校とかりそめの契りを
彼は琴の肩を抱いたまま、真っすぐな視線を向けてくれていた。


「総士さん。私の答えは、それで合ってますか?」


総士の透き通った茶色い瞳を、探るように覗き込む。


「それが……正一さんにしてあげられる、私の精一杯。だから……」

「お前の精一杯が、間違っているわけがない」


総士は不安げに瞳を揺らす琴に、力強く応えてくれた。


「お前が正しいと信じるならば、自信を持って胸を張れ。お前が決めたことなら、俺は琴を信じて応援する」


すべてを包み込むような総士の言葉に、琴の胸はきゅんと疼いた。
鼓動がドキドキと加速し始め、なにか熱いものが胸に込み上げてくる。


正一の行動は、総士にとって、どれも許し難いことばかりのはずだ。
しかし彼は、『お前が信じるならば』と、琴の思いに寄り添ってくれる。
それがとても嬉しい。
言葉で表せないほどの感謝の気持ちを、どうやって伝えていいのかわからない。


「ありがとう……。ありがとう、総士さん」


こんな言葉では足りない。
琴は瞳いっぱいに涙を湛え、そっと身を捩って総士の首に抱きついた。
総士も琴の腰に左腕を回し、キュッと力を込める。


肩に顎をのせて頬を擦り合わせると、彼の前髪が額をくすぐった。
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