今宵、エリート将校とかりそめの契りを
それを聞いて、総士もフッと口角を上げて微笑む。


「素直でよろしい」


総士の柔らかい笑顔に煽られ、琴の胸が大きく跳ね上がる。
猛烈に加速する鼓動に追いつこうと、心臓が激しく稼働していて、とても苦しい。


しかし――。
再び唇を重ね合わせた時、琴は静かに目を閉じた。
口づけを交わしたまま夜着を乱され、頭から抜くようにして剥がされる。


全身の至る所で血管が脈動するのを感じながら、思い切って総士の首に両腕を巻きつける。
自分から抱きつく恰好の琴に任せて、総士も体重を預けてくる。


初めて彼に身を委ねた、初夜――。


総士の身体の重みも、張りのある肌も、琴より少し高い体温も。
知りたくないものを無理矢理刻みつけられているようで、琴にとってはただただ屈辱だった。


しかし今、そのすべてを与えられ、琴は嬉しいと思う。
身体は悦びで戦慄き、溢れんばかりの幸せに胸は高鳴る。


「琴……」


わずかに呼吸を乱した総士が、熱っぽく吐息交じりに、耳元に呼びかける。


「お前が愛しい。俺はお前を、狂おしいほど……」


熱く甘い愛の囁きが、麻薬のように強烈に、琴の身を震わせる。
ゾクゾクゾクと背筋を駆け抜ける、官能の波に抗えず――。


その夜、琴はこの世でたった一人の恋しい人に、愛される喜びを知った。
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