今宵、エリート将校とかりそめの契りを
総士の傷はそれから数日で塞がった。
包帯を取ることができてから七日の後―—。
かねてから予定していた通り、名取家の広間で琴と総士の結婚式が行われた。
この時代、ごく一般的な、親族だけを集めた結婚式。
しかし、集まったのはほぼ総士の親族だ。
慎ましやかな儀礼だが、花嫁である琴の婚礼衣装は、他に類を見ないほど豪華だった。
婚礼衣装を手掛けたのは、江戸から続く老舗、上木呉服商だ。
正一の件があってから、佐和子とその両親がすぐに詫びの品を持って名取家を訪れた。
怪我の療養で屋敷にいた総士と琴、二人を前に、三人は床にひれ伏すようにして謝った。
婚礼衣装の制作も辞退すると申し出たが、総士はそれを拒んだ。
床に額を擦りつける三人に頭を上げさせ、『予定通りで頼みます』と言ってくれたのだ。
『上木呉服商にお願いしたいと言ったのは妻です。妻の気持ちに変わりはない。私も……琴をよく知るあなた方なら、安心してお任せできます』
隣に並ぶ琴の手を握り、凛と声を張った総士の表情は柔らかかった。
琴はその優しい横顔を胸に刻みつけ、きゅんとときめいてしまうのが顔に出ないよう、抑えるのが精一杯だった。
包帯を取ることができてから七日の後―—。
かねてから予定していた通り、名取家の広間で琴と総士の結婚式が行われた。
この時代、ごく一般的な、親族だけを集めた結婚式。
しかし、集まったのはほぼ総士の親族だ。
慎ましやかな儀礼だが、花嫁である琴の婚礼衣装は、他に類を見ないほど豪華だった。
婚礼衣装を手掛けたのは、江戸から続く老舗、上木呉服商だ。
正一の件があってから、佐和子とその両親がすぐに詫びの品を持って名取家を訪れた。
怪我の療養で屋敷にいた総士と琴、二人を前に、三人は床にひれ伏すようにして謝った。
婚礼衣装の制作も辞退すると申し出たが、総士はそれを拒んだ。
床に額を擦りつける三人に頭を上げさせ、『予定通りで頼みます』と言ってくれたのだ。
『上木呉服商にお願いしたいと言ったのは妻です。妻の気持ちに変わりはない。私も……琴をよく知るあなた方なら、安心してお任せできます』
隣に並ぶ琴の手を握り、凛と声を張った総士の表情は柔らかかった。
琴はその優しい横顔を胸に刻みつけ、きゅんとときめいてしまうのが顔に出ないよう、抑えるのが精一杯だった。