今宵、エリート将校とかりそめの契りを
昨日はまだそれが正解か絶対の自信は持てなかったが、靄が晴れて確証を得た気分で、総士はホッと息をついた。
総士の心中を敏感に察して、忠臣はフッと目を細めた。
「昨日はあまりに強引で、腐っても子爵令嬢に対して如何なものかと思いましたが。琴様を留め置かれたのは、そういう理由がありましたか。総士様の先見の明に脱帽したいところです」
忠臣は慇懃無礼にそう言って、眉間でクッと眼鏡を軽く持ち上げた。
「それなら早速、兄の戦死について、誰から情報を得たか聞き出さねば」
続く忠臣の言葉には、総士はわかりやすく表情を曇らせた。
「簡単に言うな。言っただろう、琴は愚かな女じゃない。……今や俺は、家族の仇というだけじゃなく、琴自身の宿敵に格上げと言ったところだろう」
昨夜、彼女の殺意を自ら煽り、焚きつけたことを思い出す。
「今さら、どの口で、俺に心を許せと言えるんだ……」
総士は、はあっと声に出して深い溜め息をつく。
それを見て、忠臣はククッと忍び笑いを漏らす。
パレード中、その見目麗しい出で立ちで、女性の目を釘付けにした日本陸軍のエリート将校が、十七歳の新妻に手を焼く。
「思い通りにはいかないじゃじゃ馬、でしたか。なかなか手こずったようですな」
主人である総士の憮然とした表情に、忠臣は揶揄するように言い捨て、込み上げる笑いを噛みしめるのだった。
総士の心中を敏感に察して、忠臣はフッと目を細めた。
「昨日はあまりに強引で、腐っても子爵令嬢に対して如何なものかと思いましたが。琴様を留め置かれたのは、そういう理由がありましたか。総士様の先見の明に脱帽したいところです」
忠臣は慇懃無礼にそう言って、眉間でクッと眼鏡を軽く持ち上げた。
「それなら早速、兄の戦死について、誰から情報を得たか聞き出さねば」
続く忠臣の言葉には、総士はわかりやすく表情を曇らせた。
「簡単に言うな。言っただろう、琴は愚かな女じゃない。……今や俺は、家族の仇というだけじゃなく、琴自身の宿敵に格上げと言ったところだろう」
昨夜、彼女の殺意を自ら煽り、焚きつけたことを思い出す。
「今さら、どの口で、俺に心を許せと言えるんだ……」
総士は、はあっと声に出して深い溜め息をつく。
それを見て、忠臣はククッと忍び笑いを漏らす。
パレード中、その見目麗しい出で立ちで、女性の目を釘付けにした日本陸軍のエリート将校が、十七歳の新妻に手を焼く。
「思い通りにはいかないじゃじゃ馬、でしたか。なかなか手こずったようですな」
主人である総士の憮然とした表情に、忠臣は揶揄するように言い捨て、込み上げる笑いを噛みしめるのだった。