今宵、エリート将校とかりそめの契りを
昼近くになって、ようやく琴はベッドから起き上がった。
もちろん、もっと前から目は覚めていたが、全身が気怠く、身体を起こすこともできなかったのだ。
それまで誰も琴を起こしに来なかった。
琴が目を覚ました時には隣に総士の姿もなく、ドアの向こうの続き間には、掃除をする女中の気配も感じたが、寝室のドアが開かれることはなかった。
(もしかして、昨夜の女中たちしか、私が名取総士の寝室にいることを知らない……とか)
もしもそうなら、この部屋を出ても、どんな顔をして、どんな態度で過ごせばいいのか。
自ら『名取総士の妻』という顔をするのも、わざわざ触れ回るのも嫌だと思うのに、琴はますます身の置き場のない気分に陥った。
とは言え、いつまでも総士の寝室にこもっていたくもない。
とにかく自室に戻り、今日はできるだけ引っ込んでいる方が賢明だと判断して、琴はそっとベッドから出た。
そして続き間に入り、初めて、誰も琴を起こしに来なかったのも、寝室のドアが開けられなかったのも、総士の命令だったと知った。
二脚のソファの間のガラステーブルの上に、すっかり冷めた西洋風の朝食と、綺麗に畳まれた衣類が置かれていたからだ。
もちろん、もっと前から目は覚めていたが、全身が気怠く、身体を起こすこともできなかったのだ。
それまで誰も琴を起こしに来なかった。
琴が目を覚ました時には隣に総士の姿もなく、ドアの向こうの続き間には、掃除をする女中の気配も感じたが、寝室のドアが開かれることはなかった。
(もしかして、昨夜の女中たちしか、私が名取総士の寝室にいることを知らない……とか)
もしもそうなら、この部屋を出ても、どんな顔をして、どんな態度で過ごせばいいのか。
自ら『名取総士の妻』という顔をするのも、わざわざ触れ回るのも嫌だと思うのに、琴はますます身の置き場のない気分に陥った。
とは言え、いつまでも総士の寝室にこもっていたくもない。
とにかく自室に戻り、今日はできるだけ引っ込んでいる方が賢明だと判断して、琴はそっとベッドから出た。
そして続き間に入り、初めて、誰も琴を起こしに来なかったのも、寝室のドアが開けられなかったのも、総士の命令だったと知った。
二脚のソファの間のガラステーブルの上に、すっかり冷めた西洋風の朝食と、綺麗に畳まれた衣類が置かれていたからだ。