今宵、エリート将校とかりそめの契りを
胸元には白いレースで模様が施されていて、腰元はリボンで結ぶようになっている。
外国の人形が着ているようなデザインは清楚で可愛らしい。


しかしどう見ても、スカート丈が短い。
膝頭がやっと隠れるほどの長さしかない。


「どうしよう……こんなの着れない」


サラリーマンと呼ばれる職層の男性の間では、忠臣が着ているようなスーツが定着しつつある。
流行りに敏感でお洒落な女性たちは、いち早く洋装を取り入れている。
モダンガールと呼ばれる、髪を短くして洋服を着る女性を、銀座界隈ではちょこちょこ見かける。


琴の女学校の制服は袴だが、裕福な家庭の同級生たちは、休日などは洋服を纏うこともあるようだ。
琴はもちろん、洋服など一着も持っていないが。


「足が丸見え……こんなの恥ずかしい……」


目の高さまで持ち上げて眺めながら、琴は途方に暮れて呟いた。
そのまま、今身に纏っているネグリジェとガウン、そしてワンピースを見比べる。
確かに洋服は慣れないが、いつまでも夜着のままでいる方がもっと恥ずかしい。


(とにかくこれを着て、女中頭さんを探そう!)


彼女なら制服がどこにあるか、知っているはずだ。
そう考えた琴は腹を括って、足元がスース―するワンピースに着替えた。
< 60 / 202 >

この作品をシェア

pagetop