今宵、エリート将校とかりそめの契りを
「佐和(さわ)ちゃんっ……!?」
琴も思わず声をあげてしまった。
慌てて口を両手で押さえてから、門に駆け寄る。
閉ざされた門が、まるで鉄格子のように二人を阻むが、柵を握った手を重ねることはできる。
「佐和ちゃん、どうして!? 学校は?」
驚きで目を見開く琴に、門の向こうの女学生は「バカッ!」と小声で怒った。
「昨日のパレードでの事件、聞いたわよ。その後琴が軍人に連れ去られたって言うから……!」
そう叫んで泣きそうに顔を歪めるのは、琴と同じ女学校の親友、上木佐和子(うえきさわこ)だ。
「気持ちはわかるけど、陸軍中尉に刃を向けるなんて……! 生きた心地もしなかった。捕らえられたって聞いて、殺されちゃうんじゃないかって……」
言葉に詰まってズズッと鼻を啜る佐和子に、琴も胸がいっぱいになり、熱くなる目頭を押さえる。
「うん。ごめんね、心配かけて。ありがとう、ありがとう……」
涙で声が震えそうになるのを必死に堪えながら、琴は佐和子の前で顔を伏せた。
「兄様も心配してる。琴がそんなとんでもないことしでかしたのは、自分のせいだって。自分が……顕清さんの戦死のこと、琴に話したりしたからだって」
琴も思わず声をあげてしまった。
慌てて口を両手で押さえてから、門に駆け寄る。
閉ざされた門が、まるで鉄格子のように二人を阻むが、柵を握った手を重ねることはできる。
「佐和ちゃん、どうして!? 学校は?」
驚きで目を見開く琴に、門の向こうの女学生は「バカッ!」と小声で怒った。
「昨日のパレードでの事件、聞いたわよ。その後琴が軍人に連れ去られたって言うから……!」
そう叫んで泣きそうに顔を歪めるのは、琴と同じ女学校の親友、上木佐和子(うえきさわこ)だ。
「気持ちはわかるけど、陸軍中尉に刃を向けるなんて……! 生きた心地もしなかった。捕らえられたって聞いて、殺されちゃうんじゃないかって……」
言葉に詰まってズズッと鼻を啜る佐和子に、琴も胸がいっぱいになり、熱くなる目頭を押さえる。
「うん。ごめんね、心配かけて。ありがとう、ありがとう……」
涙で声が震えそうになるのを必死に堪えながら、琴は佐和子の前で顔を伏せた。
「兄様も心配してる。琴がそんなとんでもないことしでかしたのは、自分のせいだって。自分が……顕清さんの戦死のこと、琴に話したりしたからだって」