共同生活
男が出て行くと、真希と呼ばれた彼女は俺の正面に座り、手の消毒を始めてくれた。


「さっきの話は、気にしないで下さいね...」


彼女が恥ずかしそうに俯いて言う。俺は一瞬何の事か考えたが、すぐに理解した。


「ああ、電柱ヘッドバット？大丈夫でした？」


俺がそう聞くと、彼女は顔を赤くしてますます俯いて


「すごく...痛かったです...」


と小声で答えた。その様子が凄く可愛く思えたが、沈黙になっても気まずいので俺は無理矢理会話を振った。


「そういえば、さっきの人が言ってた新入りって何ですか？」


「ああ、ここは私が大家をして、空き部屋を色んな方にお貸ししてるんです。」


「そうだったんですか...でも、こんな大きな家に色んな人と住んだら楽しそうですね。」


「そうですね、毎日楽しいですよ！光次と、今は仕事に行ってますがもう一人女性が住んでます。」


彼女はまるで本当の家族を紹介するように楽しそうに話した。
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表紙・目次

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