共同生活
「いや、さっき彼女とぶつかっちゃってさ...」


俺は手の傷を見せて必死に説明しようとする。


男はまだ俺に対する警戒を解かずに彼女の方に一瞬目を向ける。


「本当か?」


「そうよ、だから今から傷の手当をしようと思って、ほら。」


と言って彼女は救急箱を見せる。男はやっと少し警戒を解き、俺の手を取り傷を見る。


「痛そうだな〜大丈夫か?真希はドジだからすぐに人や物にぶつかるからな」


「そんな事ないわよ!」


「今回は俺がよそ見をしてて、それでぶつかっちゃったんだ。」(傷はその時のじゃないけど...)


「そうなのか?こないだも携帯いじりながら歩いてて電柱にヘッドバットかましたような奴だから今回もそうかと思った。」


「光次!余計な事言わなくて良いから!ていうか何の用?」


「貸してたCD返して貰いに来ただけだよ、じゃあ」


と言ってCDラックから一枚抜き取ると、男は出て行った。
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