共同生活
「な...何ですか??」


やはりじーっと見てた事がばれていたのかと思い俺が焦っていると、俺以上に焦った彼女が手を握ってきた。


「大変!!手から血が出てる!!」


「ああ、これはさっき...」


さっきの不動産屋にムカついてコンクリの壁を殴った時の傷です、と言おうとしたのだか彼女は


「やっぱり...さっきぶつかった時の傷ですよね!?どうしよう......。」


(いや、どう頑張っても女性とぶつかった位じゃ手を負傷する事はないだろ)


俺はそう言おうとするのだが、彼女は何か名案を思いついたかのように目をキラキラと光らせる。


「そうだ!家に寄って行って下さい!」


そう言って俺の手を握って家へと入って行く、基本的に人の話を聞かずはやとちりをするタイプのようだ。


年上の可愛い女性に手を握られているのは嬉しいから振りほどく訳にもいかないけど、部屋を探さないとな〜。


俺はどうやって早くここを出るかを考えていた。
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