お見合い相手は無礼で性悪?
『愛華さんこの後の予定は?』
モンブランにパクつきながら
トレーナーがタブレットを見ている
『1件どうしても見て欲しいショップがあって、高速で1時間程だからどうですか?済んだら少しショッピングも出来ますし、良かったらディナーもその辺りで・・・』
どうしてこの人って私の飛びつくような
話の組み立てをするのかしら?
でも、この提案を蹴るはずないって顔で返事を待っているからシャクに障る
けれど、断る理由もなくて
『良いわ・・行きましょう』
どちらが先輩なのか分からない口ぶりにも
八重歯を見せて笑う所を見ると
つられて笑ってしまった
エレベーターに乗り
1階で降りると
父が客人の見送りをしていた
『おぉ、愛華。出掛けるのか?』
父の質問に答えるつもりで近づいた私よりも先にトレーナーが口を開いた
『はい、社長これから例のショップを見て、そのまま食事して帰ろうと思っています』
『あぁ、アレな。そうか、じゃあ頼んだよ』
笑顔の父に見送られ、不本意ながらも
鈴木親子の後ろを一定の距離を保ちながら駐車場まで歩く
『愛華さん、ヒールが高いからサポートします』
ジワリと近づいたトレーナーが
余りに近いことに驚いて顔を見上げた瞬間
「・・・チッ」
聞こえてきた舌打ちに肩が跳ねた
・・・ん
驚きに視線を前を歩く鈴木親子に向けると
感じ悪い彼が立ち止まってこちらを振り返っていた
相変わらずの冷たい視線だけれど
さっきとは違う威圧感がある
明らかに私に突き刺さる視線に、恐る恐る
『なにか?』
問いかけた所で彼の眼がスーと細くなった
『お嬢様はチヤホヤしてくれる男なら誰でも良いのか』
・・・は?
いきなり過ぎて言葉を飲み込むのに数秒
この人最低!そう思うより先に鈴木社長が彼を叱責し
そして私にお詫びの言葉を並べた
『・・・いいえ、大丈夫です』
尚も鋭い視線を向けられていることに震え出した身体を自分で抱きしめるように掴む
『愛華さん、大丈夫ですか?凄く震えている』
何度も何度も声をかけてくれるトレーナーに返事をすることなく
気付けば助手席で窓の外を眺めていた