甘すぎてずるいキミの溺愛。



細い腕を首に回され、身体を密着させられる。

「えへへっ……みことくぅん」

なんか様子おかしくない?
直感でそう感じた。


「……千湖?」

「ふふっ……へへっ」

うん、おかしい。
なんでこんなニコニコ笑ってるわけ?

身体を離して顔を見ようとすれば。


「んー、やだぁ!離れないで!」

さらにしがみつかれて、身動きが取れない。

あー……ほんと男ってとことん苦労する。

なけなしの理性を振り絞って、この状況を耐え抜く。


「みことくーん、みことくーん」

「ん、なに?」


「へへっ、すきぃ」

急にどうしたんだろうと、心配になってきた。

いつも素直だけど、今日はその素直さが増している。

なんか変なものでも食べたんだろうか?


「夢の中でも会えるなんて嬉しいなぁ」

あー、なるほど。寝ぼけてるわけ。
いま目の前にいる僕は夢の世界の住人だと思われてるってこと?

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