俺を好きにならないで
「ごめんね。急にこんなことになって」


「そんな何度も謝らないで。大丈夫だから」



カフェを出てから湊は申し訳なさそうに何度も謝る。


別に謝る必要ないのに。


むしろ私は湊ともう少しだけいられることに喜んでいた。



「もしかして……ちょっと嬉しいとか?」


「え!?なんでわかったの!?はっ!!」



時すでに遅し。


口に出してしまったものは仕方ない。


自分でも顔がにやけているのが分かっていた。


そりゃこんなににやけていたらバレますよね。



「俺は嬉しい。美紅とまだいられるから」



何故彼はこんなにも嬉しい言葉を言ってくれるんだろうか。



「嬉しいから……こうしていい?」


「え……なっ!!」



それはもうスマートに彼は私の手を握った。


私の気持ち知っててこんなことするなんて本当に翻弄させる天才なんだから!
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