無慈悲な部長に甘く求愛されてます
「来年こそ、この悪しき習慣を断てますように。それじゃあね」
まるで祈るように言って、真凛はいたずらっぽく笑った。
その仕草にどきりとしてしまう。
なんという色気。
同じ年に生まれたとは思えないくらいの色っぽさにあてられて、私はぼうっとしながらトレンチコートの背中を見送った。
一度でいいからあんなふうに相手をうっとりさせちゃうような色気を出してみたい。
真凛と一緒にいると、ときどき自分がひどく子どもっぽいんじゃないかと思うことがある。
思う、じゃなくて、事実そうなのだ。
私はきっと、26歳の女とは思えないくらい思考が幼い。
だってクリスマスと言われて真っ先に思い浮かぶのは、ロマンティックな装飾を施されたツリーでも、となりでぬくもりを分けてくれる恋人の存在でもない。
クリスマスケーキ一択。