好きって言えよ、バカ。



「……へ?」



それと同時に、しっかりと……そして優しく繋がれた手。



「震えてるだろ。……すぐ気づいてやれなくてごめん」



……蓮くん。



本当は教室に戻るのがまだ怖くて。



蓮くんの隣を歩いてていいのかわからなくて。



不安で不安で……押しつぶされそうだった。



そんな気持ちが伝わったんだろうか。



優しく繋がれた手からは、蓮くんの不器用な優しさが伝わってきて、不安が少しずつ消えていく。



「ごめんなんて、蓮くんらしくない」



「ダメかよ。本当、心配かけんなよバカ」



私をバカにするその言葉は、いつもよりとても優しい声だった。



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