ブラックサンタクロース
――俺たちは自分自身が武器だ。
銃で一発撃たれたくらいじゃ、さほどダメージをくらわない。傷口の手当なんて簡単にできる。
食事することで、その場で、忽ち回復する。
もしかしたらXは
そのためにここを選んだのか?
ここならいくらでも……修復可能だ。
たとえ四方から銃撃されようが
ただちに人質を喰えば死なない。
そんなことになる前に止めなければならない。
なんとしても。
「殺人ショーを生中継なんてしてたまるかよ」
俺たちは、一般客の出入り口周辺で怪しげな人物を探せと言われているが。
裏口にも、意識を集中させておこう。ここから離れてはいるが感じとれるはず――。
「こうなると、皆が皆、不審者に見えてきますね」
「……まぁな」
いいや、俺にはわかる。
Xは、まだ、この近くにはいない。
いればきっと嫌でも感じるだろうから。
人ではないものの気配を。
「ジンさん?」
――!?
そんな風に呼ぶのは一人しかいない。
それに、その声。この香り。
振り返ると――、莉音がいた。