悲劇のヒロインなんかじゃない。
「あとはお好きになさってください。私は失礼しますわ。」


二人に背を向け社長室からでていった。


社長室から出てくると、仕事の手を止め、中の様子をうかがっていた社員達の目が一斉に私に向けられた。


「お騒がせしてごめんなさい。失礼致しました。」


私は頭を下げ、廊下へとでた。


「待ってください、樋口さん」


呼び止めたのは、確か青嶋さんの友人で、副社長を務めている男性だ。


「何か?」



「やはりうちの事業計画の協力はなし、ですか?」


「そうなるでしょう。」


淡々と答える私に、目の前まで男性は詰め寄る。


「うちはこの計画にかけてきたんです。どうにかなりませんか?青嶋とのこととは別に考えてもらえないのですか?」


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