悲劇のヒロインなんかじゃない。
私は深く息をはいた。心から疲れていた。


「青嶋社長とのことは別に、としてお答え致します。実はわが社では、こちらとの協力に反対している役員が多数おります。」


副社長である男性は目を見開いた。


「まだまだこちらが若い会社であること。業績もあげていない。関連業者との信頼、信用関係もない。そんな会社に業務協力することはわが社にとってリスクが大きい、そんな意見が多数ありましたが、わが社の社長が強引にゴーサインをだしました。」


青嶋社長を気に入った、私の結婚相手にふさわしいと思った。それが大きな要因だが。


「じゃぁ、うちは…」


ガックリと肩を落とす男性。


「こちらの事業計画案、とても興味深く、魅力的だと感じました。だからこそ、しっかりとご自分達で足場をしっかりと固めるべきです。そうしないといくらわが社のような大手の力を借りても足場が緩ければ全て崩れ落ちます。」


ハッとして顔をあげる男性。


「こちらの社員の皆さんならそれができると思います。」
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