恩返しは溺甘同居で!?~ハプニングにご注意を!!

 修平さんの作ったホットケーキは本当に美味しかった。
 昨日の夜から何も食べていなかった私は、バターとメープルシロップをたっぷり塗ったホットケーキを、三枚も平らげた。

 「美味しかったぁ~」

 満腹で満足な私が、修平さんが目の前にいることも忘れてそう言うと、「喜んでもらえて良かった」と彼が笑った。
 あんまりにも自然体な自分が恥ずかしくなって、コーヒーカップに口を付けるふりをして、彼の方を窺う。
 彼の方は、そんなことはお見通しで、私のその視線を受けて「クスっ」と笑った。

 「ところで、杏奈は今日はお休みだけど、予定は?」

 「ああっ!」

 修平さんの質問に、大きな声を出してしまって、私はちょっと肩を竦めた。

 「ごめんなさい、伝えるのを忘れてた。今日は夕方から予定が有って、今日明日の二連休でお休みを貰ってたの。実家の方の用事だから、今夜は実家に泊まることになってたんだった…。」

 それを聞いた修平さんは、少し残念そうに

 「そっか。そういうことなら、今日は俺がアンジュと留守番だな。」
 
 と、言う。

 「ごめんね…。そう言えば、修平さんは今日はお仕事は??」

 「今日は、とりあえず代休。土曜も日曜も出勤したらね。」

 「そっかぁ…ゆっくりやすんでね。」

 私がそういうと、ちょっとつまらなそうな顔をして

 「杏奈がいないと、やすめそうにないな。」

 と呟く。

 拗ねた子どもみたいなその表情に、胸がキュンと鳴った。

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