溺れて染まるは彼の色~御曹司とお見合い恋愛~

「大変失礼ながら、今まで文具には大して興味はなかったんです。でも、三藤さんのように自社製品をこよなく愛している方たちがいらっしゃる企業様となら、新しいことをしてみたいと思いまして。先に業務協力契約はありましたが、それとは別の案件として、弊社の和装や日本の伝統文様を取り入れた商品展開をさせていただけないかと、本日はご提案に上がりました」

 八神さんは私にもわかるように簡潔に説明してくれたけれど、私が彼に文具のことを話したのは、先月のデートの時くらいだ。
 あとは、日頃気に入ったものを大切に使っているくらいで……。


 だけど、それだけで彼が動くきっかけになるなんて思えなくて。


「あのっ」
「では、早速詳細を伺わせてください。弊社としましても、八神グループさんとの業務提携商品は、大変魅力的ですから」

 私の声は、前のめりな部長たちにかき消されてしまった。


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