溺れて染まるは彼の色~御曹司とお見合い恋愛~
あまり街で見かけたことのないエンブレムを飾ったその車は、街明かりに照らされてとても優雅だ。
きっと持ち主も上品で、私なんかとは違う世界に住む、洗練された人なんだろうな……。
明日のことを思うと、途轍もなく気が重い。
考えれば考えるほど、元から低い自己評価がさらに下がっていく。
叶わない片想いの相手と、会わなくてはいけないなんて。
嫌われているって分かっているのに、忘れられずにいるのがつらい。
「今度のデート、約束だからね? 一誠が忙しいのはわかってるけど……」
「分かってるよ。ちゃんと時間作る」
路肩の車から降りてきたのは、見ただけで美人と分かる女性で。
左側の運転席のウィンドウを下げ、顔を出して微笑んでいる相手は、私が明日お見合いをするはずの八神さんだった。