溺れて染まるは彼の色~御曹司とお見合い恋愛~
他に女性がいるのに、私がお見合いをする必要があるの? 彼だって、最終的に破談にするつもりなんでしょ?
締結した契約のために、社の上層部の決定に従ってしまった自分を悔やむ。
もしかしたら素敵な人と出会えるかも……なんて、期待しなければよかった。
次の約束ができるほどの仲にある素敵な相手がいるなら、その人とお見合いをすればいいじゃない。
お見合いなんて、断ってほしいのに。
これ以上傷つけられたくないのに。
「やっぱり帰りたくないとか、かわいいこと言ってくれないんだね」
ウィンドウから手を伸ばし、路肩に立つ女性にかけた声が聞こえた。
やっぱりオオカミだ。
こうやって甘い言葉で誘って……。
それに、この女性が大切な相手なのだとしたら、私をあの部屋に連れ込んだ時点で最低だと思った。