溺れて染まるは彼の色~御曹司とお見合い恋愛~

 大嫌い、大嫌い。

 軽薄で適当な人と聞かされていても、どこかでまだ信じられずにいた想いにやっと決心がついた。


 嫌われるようなことをしたはずもないのに、一方的に毛嫌いされているなんて癪だ。

 明日のお見合いは、決着をつけるには最適の場なのかもしれない。
 個人的に面会の約束を取り付けなくても、必然的に二人で話す時間が与えられたのだから。

 気が済むまで文句を並べて、二度と会いたくないって言い返してやりたい。



 彼女と思われる女性の手を離し、静かに走り去った彼の車を見届ける。

 あの部屋には、私以外の女性を連れ込んでいるのだろう。
 もし、自分が目の前にいるこの女性だったらと思うと、嫌悪で胸が焼けるようだ。


 失恋してよかったのかもしれない。
 明日を境にきっぱり想いを捨て、前に進もうと思った。


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