溺れて染まるは彼の色~御曹司とお見合い恋愛~
「サイズもぴったりですね。Stationiaさんがわざわざ予約されるなんて、もしかして秘書の方だったりするんですか?」
「えっ、私がですか?」
「会社が面倒見てくれるなんて、それなりの立場じゃないとない話でしょうから」
「…………そうですね」
母親より少し若いくらいと思われる着付け師に言われて、本当のことは言えないと思った。
頼まれてお見合いに行くなんて、とても他人に話せることじゃない。
それに、少しも楽しみじゃないし、相手も最悪で破談前提の縁談なんて、額に汗を浮かべながら一生懸命私を着飾ってくれている着付け師の女性にも失礼だと思う。
「あなた、緊張しているのね。大丈夫よ、着物もよく似合ってるし、人生で五本の指に入るほど綺麗にしてあげたから」
着付けが終わり、身体を反転させられる。
畳に置かれた大きな姿見に自分が映り、思わず目を瞠った。