溺れて染まるは彼の色~御曹司とお見合い恋愛~
約束の時間、十五分前。
有楽町の駅から近い、格式高いホテルのフロント近くのオブジェの前で、待ち合わせをすると聞いている。
「三藤さん、お疲れ様です」
「あっ、お疲れ様です」
お見合いに来ているのに、お疲れ様と声をかけられるのもなんとも不思議だ。
それに、待ち合わせが人事部の男性だなんて色気もない。
せっかくの着物姿を褒められることもなく、生まれて初めてのお見合いが仕事のためか……。
縁談を受け入れたのは自分なのだから文句は言えないけれど、やっぱり不服ではある。
「先方もそろそろいらっしゃる頃でしょうから、参りましょう。会長と専務は、先にラウンジに入られています」
「はい」
人事部の男性は、先にフロントで様子を聞いていたようだ。
本館十七階のラウンジへ向かうエレベーターが動きだし、ますます気が重くなってきた。