溺れて染まるは彼の色~御曹司とお見合い恋愛~

「失礼いたします」

 ラウンジに到着して五分と経たずに、個室のドアがノックされた。


「これはこれは、八神さん。お忙しい中、ご都合を空けていただいてありがとうございます」
「こちらこそ素敵な場を設けていただけて、ありがたい限りです。会長とお会いするのは、先々月のゴルフ以来でしたか」
「そうですね」

 会長同士が顔を合わせ、気心知れた様子がうかがえる。
 そして、私も深々と一礼する。顔を上げると、一番最後に入ってきた八神さんの姿があった。


「ご紹介します。私の孫で、弊社グループの副社長を任せている、八神 一誠です」

 彼の祖父が会長となると……。


「そして、同席させていただく私の息子で、代表取締役の八神 隆介(りゅうすけ)です」

 八神さんの整った顔立ちは明らかに血筋だと思いつつ、私は改めて腰を折った。


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