浅葱色の魁
阿比類に女だと話し
土方の前で言わなかったことを感謝した



「平助…お前、土方さんに惚れてるだろ」


「///// なっ なんで!?」


「言ってみただけ……図星かよ」


「鋭三郎!!」


「気をつけろよ 男所帯だ
こんなに簡単にボロを出すんじゃ…
心配だな… もっと、生きられたら
俺が守ってやるのにな…」


鋭三郎の顔が、歪み

右腕で目を隠した


「病のことは、ずっと前にわかってた
江戸の両親に看病させらんねぇし
出来れば、役に立って死にたかった
なんで……病なんか……クソッ」



平助は、何も言わず

阿比類の吐き出す悔しさを受け止めた



「折角、京まできたのによぉ……
平助ともっと、もっと……
仲良くなりたかった…女でも
俺にとっちゃ、唯一無二の友なのに
こんな、迷惑かけて、ごめんな…
クソッ!! クソォー!!」







それから5日程の闘病の末


阿比類が亡くなった










前日に


「あの陽乃って子…江戸城で見たことある」








陽乃が…… 徳川からの密偵かもしれない










阿比類の記憶の良さを
平助は、知っていた



「陽乃…鋭三郎の両親に訃報を」


「はい」





疑いたくない


〝そうだ!もし、密偵なら
もう、幕府に連れ戻されているはず〟



















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