浅葱色の魁
翌月




兄から指定された場所へ




「どうだ?」


「すげっ!さすが兄上!!」



手の平に
 

家紋の藤堂蔦が彫り込まれた木

裏には、兄弟の幼名

【 録 建 鎮 平 錬 】



「あはっ! 5人揃ったみたいだ!」


「そうだろ!?他の3人にも送っておいた
平助と同じ反応をしているだろう!」


「これで… 生きていける…」



高潔にも聞こえないほど
小さな声で呟いた



「兄上ありがとう!!」


「実は、コレと一緒に平助に会えたことを
文にして送ったよ
いつか、5人で酒を飲みたいものだと」


「……兄上」



家紋をキュッと握ると潤んだ目を
悟られないように


深く頭を下げた




「幼少より、本当の兄弟のように
可愛がって下さり、ありがとうございました!京に屋敷を構えて下さったり
良い使用人を与えてくれて…感謝しております!もう、会いには来ません!
どうか……お元気で!
俺も元気に頑張って活躍します!」



「そんな事を言うのだと思っていたよ」



高潔が片手で平助を包む



「徳川の世が終われば…
お前は、自由なのに…」


「終われば…ね…」




静かに、お互い泣いていることが
バレないように

抱き合った















どうして… 















徳川に生まれたんだろう








藤堂家が良かった
















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