お見合い結婚狂騒曲
「映画とショッピングデートは延期ということで、今日はお家デートをしよう」

ーーお家デート? 全く彼に似つかわしくない言い方だ。

「それって真斗さんの受け売りですか?」
「よく分かったな」

分かりますとも!

「真斗曰く、外出ばかりがデートではない、ということだ。今日は外に出られない」

そうだろう。元気そうだが、一応怪我人だ。それに、あれだけギャラリーがいる中、私も出掛けたくない。

「幸いここには、シアタールームもプレイルームもある。映画鑑賞でもカラオケでも、あっ、ビリヤードもできるから、やりたいことを言ってくれ」

自宅に……何だそれ!

「気を使わないで下さい。一応、貴方は病人ですから」
「ーーそうだ、僕は病人だ。だから、悪いが今日はここに泊まってくれ」

「ハァァァ!」と思わず声に出し、呆きれ眼を葛城圭介に向ける。

「別にイヤラシイことをしよう、と言っているのではない」

当然だ!

「本当は、経過を見るため入院しろと言われたんだ。頭を怪我したからな。でも、病院なんて真っ平だったから、無理矢理退院してきたんだが、条件を付けられた。それが君だ」
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