お見合い結婚狂騒曲
ーー本当に何者なのだろう……疑問を残したまま控え室に入ると、葛城圭介が驚くような力で私を抱き締めた。

「ちょちょっと……」
「ごめん。しばらく、少しだけ、このままで居てくれ」

声が震えている。

「ーー大丈夫ですか……」
「全然、大丈夫じゃない」

まるで子供が切なげに駄々を捏ねているような言い方だ。
だからだろう、私の腕が自然に彼の背中に回り、彼を抱き締めたのは。

ポンポンと幼子を宥めるように彼の背中を叩く。

「君の腕の中は、祖母と同じで温かいな」

しばらくして、ようやく彼が口を開く。
こんな時までお祖母様っ子炸裂ですか、と呆れながらも落ち着いたようでホッとする。

「ーーでも、君は祖母とは、香りも感触も……全てが違う」

彼の体が少し離れる。

「君は赤尾真央、僕のフィアンセだ」

エッと思った時には、彼の唇が私の唇に重なっていた。

何事が起こったのだ、と思いつつ、触れる感触があまりに温かで優しかったから、抵抗するのを忘れる。

「君の唇は甘いね」

少し離した唇が囁く。そして再び落とされたのは、先程よりもエロく大胆だった。
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