お見合い結婚狂騒曲
ーー翌日、お土産の一部を持って職場に行く。

「うわぁ、どうしたんですかこれ」

見たまんまだから、北海道土産とすぐに分かったようだ。
そこで私はありのままを伝える。

「ウソォォォ!」

南ちゃんも大久保さんも、おまけに桂木主任も、期待通りの反応を示してくれた。そうだ、これが普通だ。

気分を良くした私は、午前中、サクサク仕事を熟す。

「さて、今日のランチは何かな?」

心を踊らせ携帯を見ると、ん? 見覚えのない着信番号が表示されていた。
間違い電話だろう、とそのままスルーし、MEのメニューを見る。

「今日はサーモンステーキかぁ、いいね!」

南ちゃんと大久保さんの既婚者二人組は、大抵お弁当を持参してくる。
桂木主任はご自宅に戻り愛妻さんとランチを共にする。

これもいつもの毎日だ。
変化の無い日々を嫌う人もいるが、私はゆるゆる流れる、何の変哲も無い毎日が好きだ。だから、このところの変化ある日々が非常に苦痛だった。

「行ってきます」の言葉を残し、エレベーターホールに向かう。

ん? 手の中の携帯が震える。
見るとさっきの番号だ。

知らない番号は無視するべし! なのだが、これは固定電話からの着信だ。
万が一にも祖父母に何かあったら、と恐る恐る電話に出る。
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