お見合い結婚狂騒曲
早速その話か。溜息が出る。
でも……これは人助けだ、と自分に言い聞かせる。

「はい、圭介君と付き合っています」

うわっ、睨んだよ。メチャ怖い!

「圭介君? そう呼んでいるの!」

声が怒りでワナワナと震えている。
生きてここから帰れるだろうか……。

「私のことはご存知よね」
「はい、押し掛け許嫁? さんだとか」

私の説明が、どうやらお気に召さなかったようだ。美しい顔が更に怒りで歪む。怖っ。

「ーーそうかもしれないけど」

でも、あらっ、意外に素直。認めちゃうんだ。

「私は……圭介さんを、誰よりも愛しています」

真剣な眼差しが真っ直ぐ私を見つめ、睨む。
驚いた! 十六歳の子から『愛している』の単語を聞くとは……。

その眼差しが痛いほど私の胸に突き刺さり、ちょっと弱気になる。
いいのだろうか、彼女の真剣な愛を愚弄するような芝居をしても……と。

その時だ。彼女が フッと馬鹿にしたような笑みを浮かべる。
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