お見合い結婚狂騒曲
「ーー貴女、バカ?」

葛城圭介然り、瑠璃然り、人を馬鹿バカと、何様だ!

「私、全然、褒めてないんだけど」

あれ? ちょっと言葉が崩れた? 女子高校生っぽい。

「圭介さんは、どうしてこんなおバカなオバさんがイイの!」

うわっ、散々な言われようだ。

「私には、圭介君って呼ばせてくれないのに」

ん? どういう事?

「彼がメチャお祖母様っ子だったの知っているでしょう」

否、知らない。

「お祖母様は圭介さんのことを君付けで呼んでいて。私もそう呼びたかったからお願いしたのに……でも」

瑠璃嬢が悲しそうに目を伏せる。

「この呼び方はお祖母様だけのものだ、と言って許してくれなかった。なのに……どうして貴女はイイの!」

ーーウーン、それはお祖母さんと声が似ているからです、とは言えない。
そうかぁ、この呼び方は特別なんだ。ちょっとジンとする。

「私は三歳からずっと圭介さんだけを見てきたのよ!」

嗚呼、やっぱり初恋の君だったのね、と深く頷くと、何を勘違いしたのか、瑠璃嬢が激昂する。

「悔しい! 余裕綽々な顔をして、アンタなんか大嫌い!」

否、好かれても……と心の中でツッコム。
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