お見合い結婚狂騒曲
「男を引っ張り込むとか、君は意外に大胆だな」
「それ、真面目に言ってます?」
「いや、このシチュエーションならそう台詞かなと思っただけだ」
「だろうと思いました。襲いませんので安心して下さい」
「襲ってもいいぞ。一応、結婚を視野に入れての仮交際中だからな」

本気なのか冗談なのか、何となく不毛な会話をしているような気がして話題を変える。

「ーーどうしてあそこに?」

動き出したエレベーターの中で訊ねる。

「真斗に話があって『見合い屋』に居たら、絶世の美女がメロディーに居ると聞こえてきた」

ボーイ君だなと溜息が出る。

「真斗の奴、飛んで行って、飛んで帰った来た。瑠璃が真央ちゃんと居る、と言ってね」

ああ、それで、と了解する。

「それより、どうして瑠璃君から連絡があったことを報告しなかった!」

これって叱られているのだろうか? なぜ私が?

「えっと、急だったもので……というより、仕事じゃないんですから、そこ報連相、要ります?」

「要るだろう、仮でも交際中なのだから、こういう場合は」と妙に真面目な顔で答える。
< 70 / 132 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop