お見合い結婚狂騒曲
ーーそして、松の内も過ぎ、鏡開きと称し、事務室に飾ってあった鏡餅をぜんざいにして食べた翌日、本当にほぼ一ヶ月ぶりに葛城圭介から連絡があった。

〈すみません、長期に渡りお休みを頂いて。今年度初の授業は明後日でしたね……〉

それも、仕事のことで。

「で、要件はそれだけだったの?」

公香も呆れるほどだ。

「それだけ。授業の後もサッサと帰っちゃうし」
「デートすると言っておいて、それ? なんという男だ!」

土田さんに言いつけてやる、と公香は鼻息荒くマグカップをテーブルにドンと音を立て置く。

こらこら、物に当たるんじゃない!

「まぁ、最初からそういう男だから」

私の言葉に、公香は激しく首を横に振る。

「ダメダメ! 貴女たちの映画&ショッピングデート? が無事行われることを全力で祈るわ、私!」

ーーどうした? 物凄く目が真剣なんだけど……。

「あっ、公香、まさか真斗さんと賭けなんてしていないでしょね!」

アッ、目が泳いだ。やっぱり!

「だって、真斗が言うんだもん。『圭介に普通のデート? ムリムリ』って」

もう、怒る気もしない。

「で、何を賭けたの?」
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