お見合い結婚狂騒曲
身支度を整え、朝食を済ませ、鏡の前で最終確認をする。

「よし、完璧！」

時計の針は……まだ九時。
ここで仕事などしたら絶対に時間を忘れる、とテレビをつける。

ピッピッとチャンネルを変えるが、この時間はワイドショーがほとんどだ。

「ーーここで臨時ニュースをお伝えします……」

先日の美人女子アナだ。彼女が悲壮な顔で読み上げた内容に……エッと混乱する。

どういうこと？

そう思った瞬間、携帯が音を立てる。公香からだ。

「ーーはい」
「真央、落ち着いて聞いて、葛城さんの車が事故に遭ったの」

テレビのアナウンサーも同じことを言っていた。

「真斗が今、迎えに行ったから」
「ーー誰を？」
「しっかりしてよ、真央、貴女をよ。葛城さんが呼んでいるの！」

葛城圭介が私を呼んでいる……なぜ彼が……全身がブルブルと震え始める。

「分かったわね。とにかく、味食ビルの前で待ってて、じゃあ、切るわよ」

携帯を耳につけたまま、ボンヤリとテレビに目を移す。既に画面は別の人物を映していた。大口を開け笑っているのは、有名なコメディアンだ。

何が可笑しいのだろう……キンと脳天に響く笑いを避けるようにテレビを切る。
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